それがノスタルジーへと変わる前に

「音楽やってる人はかっこいい アイドルやってるコはかわいい とか あれから何年が経ったんだっけ 時々自分がわかんなくて それすらも当たり前になって 久しぶりに君と話したいね なんて思ってる 電話はしないけど」

みぞれ降る夜、中村橋駅にて。

この雨は夜更けに雪へと変わるだろう。

 

緊急事態宣言下、僕は一人赤羽駅へと繰り出した。朝は寝坊して任意参加の朝の会議を休み、緊急招集もすっ飛ばして、県境を跨ぎ、赤羽駅へと辿り着いた。外は寒く、寝起きの布団から出してスマホを弄る手が悴むほどの気温だ。

 


緊急事態宣言下とあって、居酒屋は人が少なく、予約かどうかの確認なしに席に着くことができた。やきとんに定評のある店だ。鶏肉が苦手だから、やきとんの店を選んだ。お互いの食の好み、人としての相性、どちらも合う気がしている。

でも、お互いにそれを知りつつお互いの別々の人生であることを受け入れて尊重する、そんな関係に正解を見出している。

 


お互いにそれを正解としているのだから、正解に違いない。

互いに認める正解こそが正解なのだ。

 


これまで友情を超えた、代わりの効かない関係性を恋愛と思い生きてきた。でも、恋愛に転換すると限界にぶち当たる。だから、どれだけ仲良くなろうと恋愛としての関係性に踏み込めないのだ。

 

 

 

彼女こそが独身最後に飲む相手なのかもね。

 

 

 

この人と濃厚接触者なら、それは仕方ないと思う。むしろ光栄ですらある。

それぐらいの相手と出会えて幸せだったな。

 


また、また。

家族ぐるみでの関係性が築けたら。

 


その日まで、しばしのお別れ。